俺のものになってよ
「あ、なんで俺がここにいるの?って顔してるね、藤井ちゃん」
「な、そうだけど…」
「君の親友に教えてもらってさぁ」
「美玖に?」
「そう。結構危ない状況なのに相手に啖呵切るとか、ほんといい度胸してるよね〜。思わず笑っちゃったよ」
舌をぺろっと出して、いたずらっ子のように笑う三橋くん。
笑うどころか大爆笑してたよね。
「ピンチを救うはずだったのに、出番なくしちゃったよ。ね、湊?」
「え!?」
「湊!?」
あたしと先輩の声が重なる。
嘘、湊もいたの?
え、じゃあ、あたしのあの恥ずかしいセリフを聞かれた?
三橋くんの後ろから、もうひとつの人影が現れて、
茶色い綺麗な髪がサラリと揺れる。
「ほんとに、あんたって恥ずかしいよ」
そんなセリフを言いながら、髪をくしゃりと触るのは間違いなく湊だ。
もう、最悪だ。
あんな大声で言っちゃって…今すぐ消えたい!