俺のものになってよ
「っ、いひゃい…」
あたしの緩んだほっぺをぐいっとつままれる。
もちろん犯人はこの男。
「何笑ってんだよ、自分がどんだけ無防備かわかってんの?」
「ひょっひょ、いひゃいからはなし…」
「あぁ?」
あまりにも顔が怖すぎて、思わず黙り込む。
でも確かに、心配かけちゃったよね…?
「ごめんなひゃい…」
「はぁ、ったく」
そんなため息をついたあと、あたしの頬から手を離す。
心配かけちゃったのは謝る。謝るけどさ…
「何、その不満そうな顔」
「別に…」
なんか納得いかない。
湊のこの顔が良すぎる表向きの性格のせいで、遥先輩だって勘違いしちゃったのかもしれないし。
でも、助けに来てくれたからそんなこと言えない…
それに、やっぱり仲のいい二人にはヤキモチ妬いてたのも事実だし。
「でも、何もなくてよかった」
不意にぐっと頭を引き寄せられて、腰に腕を回される。
サラサラの髪が首に当たってくすぐったい。
やっぱり、湊の腕の中は落ち着く。
それだけで、もういいかなって思うあたしは多分単純だ。