俺のものになってよ



緩む頬を抑えられずにいると、コツリと足音が聞こえた。



「────ねぇ、誰かいるでしょ」



その声にギクリと肩を揺らす。



「隠れてないで出て来なよ」



またこのデジャヴ感。



いつかの記憶が蘇る。



──────コツリ




すぐ近くまでその足音が聞こえて、あたしはその音の方へと振り返る。



そしてその人物と目が合うと、相手はゆるりと口角を上げた。






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