繋いだ指が示す未来
「あ!!
碧と凛発見!!」
「2人ともなにしてたのよ!
カラオケ終わっちゃったじゃん!」
「はい、荷物」
私はいつの間にか
みんなとカラオケに来たことを
すっかり忘れていた。
矢倉もそんな顔をしていた。
「ごめん、みんな。
荷物ありがとう」
私は仮面をつけた。
“立花凛”はもうない。
優しいみんなを思うと
自分が仮面を被っていることに
申し訳ないと感じるが
多分
矢倉以外の前で外すことは
絶対にない。
「金払って帰ろっかあ」
矢倉はあの不自然な笑顔を浮かべた。
「そうだね!」
みんなはそのことに気づかず
矢倉の後をついて行った。