繋いだ指が示す未来


音量を調節する各種スイッチと

メインパネル下にある
楽器左側の音色スイッチに対応した
色つきのスイッチを確認すると

OFFになっていたから
しっかりとONにしていく。


もう一度指を鍵盤にのせた。


すると音はきちんと出た。



でも1つだけ壊れている鍵盤があって
そこだけ音が鳴らないが

そんなの関係なく
私は中学の頃に作曲した曲を
弾き始めた。


弾き終えると
誰も来ないはずの
その教室の戸を
ノックする音が聞こえた。


「はい」
と返事をした。

先生に見つかったのかと
少し見構えたが

教室の扉を開けたのは

矢倉だった。


「演奏中にごめんね」

なんだ。見られていたのか。


「いいよ、気にしないで」

私は椅子に座ってお弁当を開けた。


< 14 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop