繋いだ指が示す未来
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放課後
矢倉歓迎会が駅前のカラオケ店で開かれた。
主役の矢倉も含め
みんな好き放題歌った。
私はそれをタンバリンをふって
ただただ聞いていた。
「凛(りん)、お前曲入れた?」
宇佐が私の隣にわざわざ来て
腰を下ろす。
「あー、まだ」
と思わず苦い顔をしてしまう。
「じゃあ俺と一緒に歌おうよ」
宇佐は私の肩に腕をまわした。
「んー、えっと、ごめん。
ちょっと私、トイレ行くね」
私はすぐに宇佐の腕をぬけて
個室を出た。
宇佐は決して悪いやつじゃない。
でも
私のパーソナルスペースに
ずかずかと入ってくるところは
本っ当に苦手だった。
「はあ」
結局私はトイレには行かず
長椅子に座って休んだ。