繋いだ指が示す未来
私がそう声をかけると

矢倉は私の腕を掴んで
私を座らせた。


「もうちょい」


と言われて戸惑ったが


せっかくだし
まだここにいることにしよう。


「立花って

聞き分けよくて
誰にでもにこにこしていい顔で
あまり自己主張しないよね」


「え?・・・そう見えるのかなあ」

矢倉の話は全く先が見えない話をし始めた。
正直
なにが言いたいのかもよくわからない。

だから
ただただ同調して聞いていると

矢倉はあの
私をビクッとさせる
見透かしたような目を
また向けた。



「仮面だよね」

矢倉は短く私のことをそう言った。


「え」


え。え。え。


矢倉は私の仮面に早くも気づいていた。


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