繋いだ指が示す未来
「別に責めてるわけじゃないし
嫌味で言ったわけじゃないよ」
私の動揺っぷりを見た矢倉は
イーッとさせて笑った。
「多分それに気づけたのは
俺が同種の人間だからだよ」
矢倉はぽんぽんと
急に頭を撫で始めた。
「なになになに」
「いや、慌てっぷりが可愛いから」
矢倉ははにかんだ。
こいつ、絶対私がこういうの
苦手なことも見抜いてるな。
そしたら矢倉の笑顔が
だんだん意地悪に見えてきた。
「俺さぁ
学校来はじめて
さっそく疲れ始めてんだよね」
矢倉は手を私の頭に置いたまま話す。
「俺
立花といる時だけ“矢倉碧”になる。
だから
立花も俺といる時は
“立花”でいて」