瞳に太陽、胸に星 ~誤解から俺様アイドルに付きまとわれてます(困)~
コンサート自体が初めてのあたしにとって、なにに例えたらいいかわからないくらい、とにかくその雰囲気に圧倒された。
その熱気は会場全体を包んでいて、だけどすべて一点に、矢印が向かうように絶え間なく注がれている。
注がれる先は、正面のステージ。
スポットライトが照らすステージはまるで宙に浮かんでいるように白く、輝いていた。
そのステージに向かって、みんなが好きな人の名を呼びながら、両手を上げてちぎれそうに振っている。
その手ににぎられた光るアイテムや団扇が、花のように揺れるの。
だけど、その輝くステージには、誰もいなくて。
「間に、合わなかったんだ……」
徒労に終わったことを悟ったあたしは、フロアの段差を区切る手すりに額を落として、腕を投げ出して寄りかかった。