もういいかい?
ピンポン。

「…………………………はい。」

結局僕は連絡しないで来た。

連絡すると開けてくれそうにないからだ。

例え玄関で断られても、連絡していなければ

こうやって、1度は声が聞こえると思った。

怠そうな声が返ってくる。

「海晴先生、航です。
今日お休みされたから、様子を伺いに来ました。
体調、どうですか?まだ痛みますか?
ご飯の用意をして来たんですけど………
もし上げてもらえたら、作ります。
ここを少し開けて……………」

「……………………………………帰って!」

「あっ、でも…………みんな心配して…………」

「いいから帰って!!」

泣き出しそうな声がする。

……………………??……………………辛い??

「海晴先生?」

ガチャガチャ。

ピンポン。

応答するが返事はない。

側に行けば安心できると思っていたけれど………

もっと心配して…………不安になった。

ピンポン、ピンポン、ピンポン。

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ。

「海晴先生、海晴先生。」

どれくらいそうしていたのだろうか?

『止めて…………嘘つき!』

携帯が鳴って出て見ると、怒鳴られた。

止めては分かる。

でも………嘘つきとは??

『もしもし、海晴先生…………体調は大丈夫ですか?
話せるなら…………教えて下さい。
嘘つきって…………どういう事ですか??』

僕の質問に答えることなく…………すすり泣く声が聞こえた。
< 23 / 121 >

この作品をシェア

pagetop