過ごしたかった中学生。オモイヨ、トドケ。
エピローグ
私はこの日から、扉を開ける…。


ずっと忘れていた押入れの秘密基地。小さい時はよく顔を合わせていた襖も、埃をかぶって放っとかれ、いじけた子供のようになかなか襖を開けてくれない。ひびきは、腹から声を出すみたいに腹に心を込めたら襖は開くんじゃないかと思い、空気を吸い込み腹にためる。目を閉じ、集中し想いを込める……目を開くと同時に襖を大きく振動させる。……


インターホンが鳴った。襖は開かない。なぜ?
配達のおじさんの相手をする間、ひびきは襖のご機嫌をとる方法を考えていた。

「ありがとうございましたー…。」


さて、襖さんよ、君はあれか?腹が減ってるのか?
まだ食べていない、私の朝飯を少し分けてやったら気がすむのか?おい、返事しろよ。


ひびきは襖の開け方を忘れてしまっていた。襖は叩いて開くものでも蹴って開くものでもない。

丁寧に横に動かせば、ちゃんと襖も応えてくれるのだ。ひびきにはその考えが足りなすぎた。

結局、夢を諦めそうになったひびきは、おばあちゃんに電話をかけ、悲しい襖の話をした。そこで考えもしなかった襖の正しい開き方を教わり、電話後に試し、無事開けることができたのである。めでたし。
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