過ごしたかった中学生。オモイヨ、トドケ。
なんとなく腹が立ったので、ボロ爺クマには、ご隠居、つまり私より離れて生活してもらう事に。

ひびきは老体に事情を説明し、離れてもらう。

「ひびき、本当にワシがいなくて困ったら、いつでも…」


「大丈夫!全然、問題ないっです。だから、さようならをしたいです。いつか、また会える日まで…!」


「ひびきぃぃぃ…っ!」


げっ、老クマが突進、迫ってくる!うわ、ヤダヤダ。え、え?



「ぐええぇ!」


ひいぃぃぃっ…!


「…何でこんなもん、連れてきた。」

え、私に聞いてる?老クマ、今のこの人の一撃でしゅわぁって溶けちゃった。灰色のけむりがもくもくと漂ってたよね、最後の方のクマ爺。あいつは、何なの…?



「津田 ひびき。お前どっからきた?」

ひびきの知った男子があのクマ老体の最期をつくりだしたと知ったとき、少し違和感を感じた。

あれ、ここってパラレルワールドだっけ?

そう、ここはひびきの知ってる世界ではない。もう一つの世界。という、中身が少し違った世界なのだ。そしたら、この男子、私の知ってた男子は昔、私の事を『クッキー』と呼んでいた。理由は不明だったけど。


「日野くん、『日野 龍』くんだよね?」

「ああ、合ってる。だけど、あいつは津田が連れてきたのか?」

ご老体の事を言ってるんだ、と気づいたので、ひびきはこれまでの成り行きを、目を覚ましたときから話して聞かせた。


「あの、ガラクタみたいなやつは、呪いの塊なんだよ。何かを魅力に思って、津田に近づいてきたんじゃないか?」

心当たりが一つある。でも、話していいものなのだろうか。


困ったひびきはある質問を試してみる。

「日野くん、好きな子いるの?」

「は?」

そう、好きな子を話してくれれば、信頼できるしされてるし、と思ったのだ。

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