過ごしたかった中学生。オモイヨ、トドケ。
「何で?」

「知りたいから。」


龍が考え込む。何かに迷っている様子。

「津田が、好きなやつ誰もいないんなら、言う。」


「えっ」


「何、いるの?」


ひびきは一瞬、どうしようかなと思って、回るひびきになるが、三回転ごろに龍に捕まる。


「津田、好きなやついるんだな。」

「…」

別にいいけどさ、龍は思う。

そんなヤツがいたって、俺は諦めないし。津田に今まで会えなかった分、俺は津田といたいから。





「日野くんは、クラスどこ?」
「E組。津田もそこ。」

「そっか、同じかぁ。こころ強いぜ。」

結局、先程のトラブルの間で、体育館の始業式は終わっていて、今はクラスに戻るところ。

ひびきは先程のトラブルの原因はおそらく、誕生石だと思っている。あの、老クマがこと化け物、は、何者だったのだろう。


「ねえ、日野くん。」

「ん?バラす気になった?」

「うん、誕生石ってしってる?」

「そんな苗字のヤツいたか?」


「え?」

「好きなヤツ、どのクラスなわけ?」



失敗した。話し方を間違えた。勘違いをどう直すものなの?ひびきは早速、つまづいた。心が。


「誕生石、私も持ってるよ?」


「え、何。見せろっ!」

「あー、龍じゃなくて津田さんによ、空気読めない男子って、嫌ねー。」

明るい雰囲気の女子、えっと名前は…。

「野口、誕生石って人間じゃないの?」

「もー、漢字分かんないの?せき、は石。石だよ。このポンコツ。」



「はあ?フザケンナ、オマエっ!」

「やだよー。あ、津田さん、これあげる。四月の誕生石でもありわたしのたんじょうせきでもある、ダイヤモンド。裏に津田 ひびき。って書いて合ったんだよね。他にも拾った子いるらしいから、聞いてみておくね。」


野口 岬(のぐち みさき)、同じクラスだね。

…そう、野口さんは言ってくれた。嬉しい。

ひびきは心がほかほかした気分だった。
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