例えば貴方だとして…。
お昼休み。今日も愛しの彼氏_裕哉とラブラブしながらご飯を食べようと思う。
『裕哉~!お昼食べよ〜〜!』
「…」
私が話しかけてもピクリとも動かない。その原因は、おそらく…彼が持っているスマホだ。なにやら熱心に画面を見ている。
『…裕哉?』
「……え?あ、ああ。ごめんね?ちょっとボーッとしちゃって」
いつも通りの柔らかく優しい笑顔を見ると、私の中の不安や不満が一気になくなっていく。裕哉のこの笑顔や優しさに惚れたんだ。
『今日は…屋上がいいなー…』
「うん、了解。行こっか、俺の彼女様?」
『うっ////そういうのやめて!』
「えっ…嫌だったの?」
『////うそうそっ!!ほんとに嫌じゃな…っ!わざと言わせた?』
「ご名答♡」
こんなふうに少しだけ意地悪な所も、私は惚れ込んでしまった。いつまでも彼のそばに居たいな。
in屋上
『あっ、そういえばさ…今週の土曜日、弟の文化祭なんだけど…裕哉、行かない?』
「ん〜…土曜日かぁー。…ごめんっ!その日は、どうしても外せない用事があるんだ…」
申し訳なさそうな彼の顔を見て、よっぽど大事な用事だということが伝わってきて、同時に私より大事な用事って?と問いかけたくなってしまう。
『う、ううん!裕哉だって外せない用事くらいあるだろうし…!』
「うん、ほんとにごめんね?また今度、埋め合わせは、するから…文化祭、楽しんできて」
『うん!埋め合わせも楽しみにしてるね!』
少し重い感情を心にしまいながら、楽しい話題へと話を変える。
「えぇー!マジで?笑」
『ほんとほんと笑』
彼が笑ってくれるのは、とても嬉しい。彼が笑ってくれているならば、私は幸せだ。
『裕哉の笑顔ってさ、不思議。』
「え?なんで?」
『こっちまで幸せになるから』
「……そう。」
裕哉は、何故か素っ気なく返事をした。私が疑問を持つと、裕哉は、スマホを取り出した。
「ちょっと電話してくるから、先食べてて…」
『あ、うん…』
そそくさに電話に出た彼は、先程まで下がっていた口角を上げた。その笑った顔は、私が見たことがないような顔で、少しだけ自分の顔を歪めた。