お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
きっかけは虫退治
終業時刻三十分前――。
明日は朝一で、第二会議室の解錠をして、それから西東京営業所から頼まれてる備品の発注でしょ……。
一日の業務を終えて、明日の朝一の予定を確認する。
『メディカ新薬工業』に入社して早六年目。
新宿にある本社の総務部に勤める私――須藤里咲(すどうりさ)は、今日も残業にはならずに帰れそうだとホッとしながら、自分のパソコンの電源を落とした。
新入社員が入社する四月、総務部は毎年何かと忙しい。
入ってきた社員の各種手続きや細かなサポートに追われるからだ。
四月も後半に入ると、その慌ただしさもひと段落する。
「いった!」
飲み終えたコーヒーのカップを捨てに立ち上がろうとした時、背後から後頭部を小突かれた。
こんな衝撃をくらわせてくるのは一人しかいないと思いながら、ムッとした顔で椅子ごと回転して振り返る。
「もうっ、何?」
案の定、そこには今戻ってきたらしい様子の曽根雄大(そねゆうだい)が、私の真後ろのデスクで椅子を引き出していた。
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