お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
バッグから引き離された手は、潤希さんの大きな手に包まれる。
潤希さんのぬくもりを感じ、一瞬で頬の温度が上がるのを感じた。
「可愛いこと言って、今日帰れなくなるよ?」
フッと笑った横顔を目に、更に発した熱が広がる。
「……はい。一緒に……いたいです」
恥ずかしいや照れる想いももちろんあったけれど、それ以上に今の気持ちを伝えたかった。
私の返事を聞いた潤希さんは、言葉なく指を絡めて手を繋ぎ直す。
溢れそうな想いを指先に込め、私からもぎゅっと握り返した。
首都高を新宿方面に走る車が向かったのは、あの高級マンション。
総務部の送別会の日に連れて帰られた時以来で、あの日の出来事が脳裏に浮かぶ。
いつものように車寄せに車を停め、コンシェルジュに駐車をお願いした潤希さんは、私の腰に腕を回してしっかりとエスコートしてくれる。
部屋へと向かいながらふと顔を見上げると、私の視線に気付いた潤希さんは優しい微笑を浮かべてみせた。