お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
玄関を入り、並んで靴を脱ぐ。
潤希さんは私の背に手を添え、リビングダイニングへと向かっていく。
メインの照明の落ちたリビングでは、点在するフロアスタンドだけが灯り、広いガラス窓の向こう、テラスのグリーンがライトアップされて幻想的に目に映った。
「里咲、見て」
「……?」
薄暗いリビングの中央までエスコートした潤希さんは、見てと言ってテラス前にL字に設置されたソファセットを指差す。
その前にあるローテーブルの上、小さな小箱がポツリと置いてあるのが目に入った。
潤希さんの手から離れ、一歩ずつ近付いていく。
すぐそばまで行くと、それが指輪のケースだということにハッとした。
「これ……」
白い小箱と一緒に、小さなメッセージカードが置かれてある。
振り向くとそばまで来た潤希さんが黙って小さく頷いて、私はその二つ折り仕様になっているカードを手に取った。