お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~


「まさか、君のような女性がくるとは……」


私が部屋に入ってくると、成瀬副社長は仕事中のデスクから席を立ち上がる。

君のような女性が、って……?

それはどういう意味だろうと思いながらも、聞くこともできないでいると、「私の秘書は、どうしても外させてくれと出て行ってしまってね」と、苦笑を漏らした。

そんな言葉を受けて、さっき足早に去って行った秘書の女性を思い返す。


「そう、でしたか……今、外でお会いしました」

「逃げるように立ち去っていったよ、困ったものだ」


そう言いつつも、言葉には柔らかさを感じる。

怒っているわけではもちろんなさそうだ。

デスクを離れ、こっちに向かってくる成瀬副社長の姿に、思わずぽうっと見惚れてしまう。

すぐ目の前まで迫られると、想像以上に身長差があって、顔を上向けないと目を合わせられなかった。

でも目が合った瞬間、バッと顔を俯かせる。


「あの、虫というのは……」

「あぁ、そこの壁にね」


壁……って、え……えぇ⁈

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