お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
膝におでこが付きそうな勢いで頭を下げていった彼女の姿に、ドアが閉まってから一人クスッと笑ってしまった。
総務から人を寄越すと逃げ腰の秘書が言っていたけれど、まさか彼女が一人でやってくるとは思わなかった。
総務部所属、須藤里咲……。
昨年、この東京の本社に籍を置くようになってから、社内でたびたび彼女の姿は目撃していた。
朝の決まった時間に社内の植物の水やりに回っていて、なにかと目についたのが始まりだった。
小柄で、長い黒髪の彼女は、顔もキツいメイクなどしていることはなく、大きな目が印象的な童顔。
変に飾り気がない姿は、高校生の制服でも着せたら間違いなく女子高生に見えてしまう容姿をしている。
そのどこか幼さの残る容姿の彼女が仕事をしている姿は、無意識のうちに俺の視線を奪っていった。