お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
ある時は、暑い夏の日に外で植え込みの雑草を黙々と抜いているところを見かけた。
またある時は、どこかの部署に頼まれたお使いだったのか、両手にビニール袋いっぱいに入ったペッドボトルのお茶を運んでいた。
それを遠目に見た時は、さすがに行って代わってあげたいと身体が動きかけたけど、タイミング悪く人に呼び止められ叶わなかった。
いつも真っ直ぐ真剣に仕事に向かっている彼女は、話したらどんな子なのか、どんなことが趣味で、休日は何をしているのか、あらゆることが気になるようになっていた。
でも、なんのきっかけもなく声を掛ける勇気がなく、社内で見かけると見つめることくらいしか出来なかった。
自分が可愛らしいと注目する彼女だから、間違いなく他の男もそういう目で見ているはず。
もしかしたら、すでに付き合っている男がいるかもしれない。
そう思うと、より声を掛けることはできなかった。
デスクに戻り、仕舞っておいた二つ折りの桃色の写真台紙に手を伸ばす。
でも……あの様子じゃ、このことはまだ知らないようだな。
開いた中にあるほんわかとした笑みを眺め、またクスッと一人笑っていた。