お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
自分のパンプスを脱いで玄関を上がったところで、階段横のリビングのドアが開き、母親が顔を出してきた。
「ただいま。……お客さん?」
足元の見知らぬパンプスを振り返り、聞いてみると、母親は「のんちゃんが来てるのよ!」とすぐに答えた。
「紀子(のりこ)伯母さんか……」
紀子伯母さんは、母の三つ歳上の姉で、二子玉川に住んでいる。
私の伯父にあたるご主人はなんと総合病院の病院長で、紀子伯母さんは完全に玉の輿に乗ったパターンだ。
「里咲、お帰り〜!」
「ただいま。紀子伯母さんも、いらっしゃい」
「うん、お邪魔してる。久しぶりね、元気にしてた?」
リビングに顔を出すと、紀子伯母さんは満面の笑みで私を迎え入れる。
どうやら二人でお茶でもしていた様子だ。
ソファセットの前のローテーブルには、ティーセットと焼き菓子が用意されていた。
「うん、相変わらず。伯母さんは?」
「私はこの通り元気よ、ピンピンしてる。それより里咲、今日はあなたに話が合ってきたのよ」