お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~


その姿を目にした途端、心臓が驚いたように音を立てて動いた。

思わず立ち止まってしまった私に、他の重役と談笑しながら出てきた成瀬副社長はちらりと目を向ける。

慌てて頭を下げると、成瀬副社長は口元にほんのり笑みを浮かべて「お疲れ様」と言ってくれた。

去っていく姿をつい振り返ってしまうと、そのしゃんと伸びた広い背中に見惚れてしまう。

今日はライトグレーのスーツ姿で、明るく華やかに見える。

……いけない、見過ぎだってば!

無意識のうちに見つめてしまっていた自分にハッとして、そそくさと給湯室へ向かった。

残されたペットボトルの中身を捨てて、容器をすすぎながら、速まってしまった鼓動を落ち着かせる。

昨日の今日でたまたま顔を合わせたから、声をかけてくださっただけ。

そう思おうとしても、あの素敵な微笑で「お疲れ様」と声をかけられただけで平常心が保てない。

昨日、成瀬副社長と初めて接触してから、なんだか自分がおかしくなってしまっている。


「須藤さん」

「……っ、はいっ!」

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