お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
部屋まで案内してきた着物の女性が入り口の襖を開けると、紀子伯母さんが愛想良く「お待たせいたしました〜!」と中に向かって頭を下げた。
中から先方の挨拶の声が聞こえ、しなくていい緊張が一気に高まった。
「里咲、入りなさい」
中に一歩踏み込んだ紀子伯母さんが、突っ立ったまま襖の外側に立つ私に声をかけてくる。
それを合図に背後にいた母親に帯の背中を押され、とうとう部屋の中に足を踏み入れた。
「失礼、いたします……」
奥の庭園が望める、大きな窓のある立派な部屋。
その広い畳の部屋の中、奥の席に三人の人影が見えた。
でも、その顔を確認するよりも先に頭を下げる。
「須藤里咲と申します。よろしくお願いいたします」
心にも無い挨拶をして改めて顔を上げ、再び見たお見合い相手の顔に、一瞬何がなんだかわからなくなった。