お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
うそ……どう、して……。
現実味がないというか、夢を見ているのだとしか思えない光景。
だって、そこに見えた顔は自然と私の鼓動を高鳴らせる。
お見合い相手って……成瀬副社長⁈
そんなこと、有り得るはずがない。
いや……これは、私の身にあってはならない出来事だ。
「里咲? どうしたの」
すぐそばで声をかけられているはずなのに、母親の声がすごく遠い。
「だ、だって……」
「自分の会社の方だったから驚いてるの?」
「えっ⁈ 何、お母さん知ってて……」
「当たり前でしょ。何度も話そうとしてたのに、話も聞かない、いただいた写真も見ないってしてたのはどこの誰?」
こそこそと言い合う私と母の横で、紀子伯母さんが先方とやり取りをしている。
目が合った成瀬副社長は、会社で見たあの柔和な微笑を浮かべて私を見つめていた。