お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~


食後の甘味とお茶の用意の間、二人きりで話してきなさいと紀子伯母さんに勧められ、成瀬副社長と一緒に席を立つことになった。

客席の個室を出て、庭園へと続く出入り口を外に出ると、竹林の中に石畳みの道が続く。

二十メートルほどその道を進んでいくと、客間から望めた広い日本庭園へと出ることができた。

竹林から出ると、真上に昇った太陽が大きく立派な池の水面をキラキラと反射させていた。

空を仰いだ成瀬副社長が、他愛もなく「いい天気だね」と呟く。

二人きりになって再び緊張の波にのまれそうな私は、蚊の鳴くような声で「そうですね……」と返事を返した。

今日はブラックスーツを見事に着こなしている成瀬副社長。

斜め一歩後ろを歩きながら、素敵なその姿を盗み見てしまう。


「大丈夫? 疲れたんじゃない?」


私の様子を見てなのか、成瀬副社長は窺うように顔を覗き込んでくる。

慌てて「いえ!」と首を横に振った。


「すみません……ちょっと、色々と状況についていけてないといいますか……」

「それは、今日のお見合いがってこと?」


まさに図星で、私は勢いよく「ごめんなさい!」と頭を下げていた。
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