お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
池の周りをゆったりと歩きながら、成瀬副社長はとなりを歩く私へと顔を向ける。
横顔に視線を感じながら、優雅に泳ぐ立派な白い鯉に視線を落とした。
「できることなら……恋愛結婚がしたいなって、思っているので」
私みたいな、年相応の女性の魅力もないような人間に、恋愛結婚なんて贅沢な話なのかもしれない。
そういうことは、ある程度のレベルの女性が望むものだ。
言ったそばから、大それた発言をしてしまったと落ち着かなくなってくる。
「あの、あくまで理想なんです! 実際には難しいですけど、やっぱり、知らない人と会ってすぐ結婚するのではなくて、ちゃんと、好きになってから結婚はしたいなって……」
「そっか……。じゃあ、今日の見合いは断る方向ってことか」
「えっ……⁈」
思わぬ言葉に歩みが止まる。
足を止めた私へと振り返り、成瀬副社長はどこか挑戦的に口角を吊り上げた。
「じゃあ……俺と恋愛してみるっていうのはどう?」