お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
成瀬副社長の口から出てきた〝恋愛〟というフレーズに鼓動が高鳴る。
言われた言葉を解釈した途端、恐れ多さに数歩後ずさっていた。
「なっ……何を仰ってるんですか!」
「何って、そのままの意味だけど」
離れた距離を詰めて、成瀬副社長は不意に私へと手を伸ばす。
なんの前触れもなく手を握られて、初めて触れた体温に一気に心臓が跳ね上がった。
「俺じゃ選考外?」
「そっ、そんなわけ……! 逆です! 私じゃ、その……釣り合いが取れません!」
掴んだ手をそっと引き寄せられて、熱くなっている顔でふと成瀬副社長を見上げると、ふわりと微笑みかけられた。
「そんなことはないと思うけどな。今日だって、すごく華やかで美しい」
紀子伯母さんが用意してくれたという今日の着物は、白地にパステル調の色糸で花模様が刺繍された華やかなもの。
帯は赤とピンクでグラデーションしている。
「そ、それは……着物が華やかというだけで、私は……見た目もこんなですし、大人の女性の魅力とか、全然なくて……」