お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
君はダイヤの原石
朝のメールチェックをし、必要なものには一件ずつ返信をしていく。
毎朝のその作業がひと段落して、思い出したように出勤時にカフェで買ってきたハニーミルクラテを紙袋から取り出した。
氷が溶けて少し水っぽくなってしまったカップを振ってストローに口をつけた。
週末のお見合いから、二日――。
あの日、帰って着物を脱いでひと段落すると、全部夢だったんじゃないかと素で思った。
白昼夢――まさに、その言葉がぴったりだと思えた。
だけどその晩、スマホにメッセージが入ってきた。
【今日は来てくれてありがとう。これから、どうぞよろしくね】
初めて入ってきたメッセージの送り主は、成瀬潤希……夢ではなく、やっぱり成瀬副社長からだった。
それでも一晩眠って朝になれば、昨日のことは夢だったのではと疑う重症さ。
そのくらい、お見合いの相手が成瀬副社長だったことがいつまでも信じられない自分がいた。
でも、当たり前だ。信じられるわけがない。
自分の会社の副社長で、みんなが憧れる素敵な人……そんな雲の上のような人が、お見合いの相手だなんてフィクションの世界の話みたいだ。
「うわっ……なっ、何?」