お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
フロアの遠く一点を見つめながらストローを吸い上げていると、顔の目の前で手をぶんぶんと振られ、ハッと我に返った。
「おいおい、朝からまた自分の世界行っちゃってるぞ?」
驚いて振り返った私へ、ニヤリと口角を上げる曽根は今日も相変わらず。
何を考えていたのか見透かされたような気分になって焦り、背筋を伸ばして気持ちを入れ替えた。
「大丈夫、気のせいだよ。ちょっとコレが美味しくて癒されてただけ」
氷をからから鳴らして、コーヒーのせいにしてみる。
椅子に腰を下ろした曽根は振り返り、また口元に笑みを載せて私を見上げた。
「そういや、この間言ってた話は進展あったのかよ?」
「この間……」
「見合いだよ、見合い」
そう言われて、そういえば曽根に愚痴っていたことを思い出した。
たしか、先々週の半ばあたり。
紀子伯母さんがお見合い話を持ってきた翌日だった気がする。
その後、流れたと思ってた先週末に『明日はお見合いよ』と言われたのだ。
「ああ……うん、先週の土曜だったけど……」
「ふ〜ん……で、上手いこと逃げ出せたのかよ?」