お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
「無理だったよ、がっちりマークされてた」
「えっ、マジか」
早朝に逃げ出そうと目論んでいた私の思考回路は母に完全に先読みされ、脱出劇は紀子伯母さんによって見事阻止されてしまったのだ。
まさかあのタイミングで伯母さんが現れるとは思いもしなかった。
まさにファインプレーだった……。
「で……じゃあ、行ったってことなんだよな?」
「まぁ、うん……」
なんの変哲もないお見合いだったとすれば、これ以上のことを曽根に話しても差し支えない。
だけど、相手が成瀬副社長だった以上、余計なことは口走れない。
「まぁ、うんって。なんだよその冴えない反応は。見合いでもやっぱり無理そうって――」
いつもの曽根のいじりを耳にしながら、デスクの上で画面を点灯させたスマホに目が留まる。
入ってきた新着メッセージが成瀬副社長からのものと見えて、慌ててスマホを手に取った。