お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
「おはよう。早かったね」
「あ、はい。おはよう、ございます……」
今日は明るいネイビーの三揃いに、レッドが入ったレジメンタルタイを締めている成瀬副社長。
今日も抜かりなく決まっている。
この人とお見合いをして、その先の展開を迎えていくかもしれないなんて、やっぱり考えられない。
部屋に入り、席を立ち上がる素振りのない成瀬副社長の元へと歩み寄っていく。
広いデスクの前まで近づくと、両肘をついて組み合わせた手に顎を載せ、綺麗な顔に笑みを浮かべた。
「今晩、予定は入っている?」
「今晩、ですか? い、いえ、何も」
「良かった。それなら、食事でもしながらこれからのことを話し合いたいと思うんだけど、どうかな?」
食事に誘われたことにもその理由にも、驚かずにはいられない。
狼狽しそうなのをぐっと堪えながらも、目は泳いでしまって動揺は隠せなかった。
「は、はい……わかりました」
「じゃあ、仕事が終わったら連絡して。楽しみにしてる」
返事をするだけで精一杯で、応えようとした笑顔はどこか引きつっているように感じられた。