お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
以前の昼休みランチに誘われた時、きっと成瀬副社長と食事なんて緊張してできるはずがないなんて考えたことがあった。
口を開けるのも恥ずかしい、なんて……。
お見合いの時は逆に目の前の料理で気を紛らせたくらいだったけど、あとになって振り返ると何を食べたかや味など、料理のことはほぼ覚えていない。
一日の仕事を終え、デスク周りを片付けていると、普段にはないざわつきと「お疲れ様です!」という声が飛び交った。
何事かと何気なく振り返って、見慣れた景色に信じられない光景を目にした。
な、成瀬副社長……⁈
なんと驚いたことに、私たち総務部のあるフロアに成瀬副社長が現れたのだ。
こんなこと、今まで一度もない。
ざわつく社員たちに「お疲れ様」と爽やかに声を掛け、その目が私の姿を捕える。
ドキンと心臓が跳ね上がった時には、笑みを浮かべた成瀬副社長がこちらに向かって歩みを進めていた。