お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
「あっ……」
掴まれた腕を引かれ、気付けば潤希さんの腕の中に閉じ込められていた。
初めてのことに途端に心臓が暴れ出す。
「やっと……二人きりになれた」
思いもよらない行動と言動。
後頭部に触れた大きな手が、潤希さんへともっと密着するように力がこもる。
「困ったな……思ってたよりも遥かに美しくなってしまったから」
「えっ……そ、そんなことはな――」
「あるよ」
そう否定した唇が私の慌てた声を塞いで、それ以上何も言えなかった。
突然の口付けに高鳴っていた鼓動が一瞬止まったように驚く。
柔らかく重なった唇はどこか強引に唇を割って、勝手に甘い吐息が漏れ出てしまった。
「……ごめん、驚かせちゃったかな」
キスを終わらせた潤希さんは、呼吸を乱した私を覗き込み、いつも通りに微笑む。
初めての口付け後にも拘らず、全く動揺していない潤希さんを前に、私は咄嗟に両手で口元を覆っていた。
「これから住もうと思ってるこの家、気に入ってもらえるかな……? 一通り見てもらいたいんだ」
「……は、い」
「今晩は、一緒にここに泊まっていこうと思ってる」
「えっ……」
とっ……泊まる⁈
「さっき、里咲のご両親にも許可をもらっておいたから、大丈夫だよ」
玄関を上がりながら振り返った潤希さんは、爽やかにそんな重大なことを言ってみせた。