お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~


「あっ……」


掴まれた腕を引かれ、気付けば潤希さんの腕の中に閉じ込められていた。

初めてのことに途端に心臓が暴れ出す。


「やっと……二人きりになれた」


思いもよらない行動と言動。

後頭部に触れた大きな手が、潤希さんへともっと密着するように力がこもる。


「困ったな……思ってたよりも遥かに美しくなってしまったから」

「えっ……そ、そんなことはな――」

「あるよ」


そう否定した唇が私の慌てた声を塞いで、それ以上何も言えなかった。

突然の口付けに高鳴っていた鼓動が一瞬止まったように驚く。

柔らかく重なった唇はどこか強引に唇を割って、勝手に甘い吐息が漏れ出てしまった。


「……ごめん、驚かせちゃったかな」


キスを終わらせた潤希さんは、呼吸を乱した私を覗き込み、いつも通りに微笑む。

初めての口付け後にも拘らず、全く動揺していない潤希さんを前に、私は咄嗟に両手で口元を覆っていた。


「これから住もうと思ってるこの家、気に入ってもらえるかな……? 一通り見てもらいたいんだ」

「……は、い」

「今晩は、一緒にここに泊まっていこうと思ってる」

「えっ……」


とっ……泊まる⁈


「さっき、里咲のご両親にも許可をもらっておいたから、大丈夫だよ」


玄関を上がりながら振り返った潤希さんは、爽やかにそんな重大なことを言ってみせた。

< 64 / 108 >

この作品をシェア

pagetop