お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
それにしても、いつの間に実家に連絡を……。
きっと、サロンにいた時とかに連絡をしたのだろうけど、応対したであろう母親もあっさり了承しすぎだ。
娘がお見合いをして婚約をした相手といえ、外泊の許可を相手の男性に簡単に出してしまうなんて……。
もうどうぞ好きにしてください、あなたのものですので。と、言っているようなものだ。
バルコニーへと続くガラス戸を開けると、心地いい春の夜風が木々の葉をさわさわと揺らしている。
小さく開いた隙間から外へと出ていく。
ライトアップされた雰囲気のあるバルコニーからは、公園のようなマンションの中庭が望めた。
さっきから何度も、突然されたキスのことばかり考えてしまっている。
あの綺麗な顔に見つめられて、どきりとしているうちに触れ合っていた唇。
思い出しただけでも身体が火照ってくる。
でも……私にがっかりは、とりあえずしてなかった……?
心配していたことは思い過ごしだったのか、婚約を破棄しようなどとは一切言われてはいない。
むしろ、このまま話を進めて、ここに住むってことまで……。
「何してるの?」