お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
背後から包み込むように腕を回されて、いつの間にか戻ってきた潤希さんに抱き締められていた。
考え事をしていたせいで、近付いていた距離に全く気付かなかった。
振り向こうと身体をひねると、背の高い潤希さんが背を縮めて顔を近付ける。
こめかみにチュッとリップ音を響かせた。
また落ち着いていた鼓動がトクトクと忙しない音を立て始める。
「風邪ひいちゃうよ?」
そのまま肩を抱いて「入ろう」と連れていかれる。
リビングから寝室へと向かっていく足取りに、思わず潤希さんの顔を見上げる。
私の言わんとしていることがわかっているはずなのに、潤希さんは「ん?」と小首を傾げてみせた。
雰囲気のあるダウン照明だけが灯る寝室には、キングサイズのベッドが鎮座する。
さっき、この住まいについて各部屋を見せてもらった時、寝室だというこの部屋を見て、一つのベッドで一緒に……!と、当たり前といったら当たり前のことに内心どぎまぎしてしまった。
結婚すれば、間違いなくそういう関係になる。
だけど……まだ、心の準備が――。
「ふぁっ!」