お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~


……ん?

あれ、私……。


肩をとんとんと叩かれている刺激でふっと意識が戻ってくる。

自分の置かれる状況が一瞬わからなくて、ハッとして顔を上げた。


「おい、大丈夫かよ」


ぼやける目に、私を覗き込む曽根が映る。

眼下には、使っていた取り皿と片方が皿から転がり落ちた箸。

氷だけが残り汗をかいたグラスが見えた。


「あれ……?」


みんな席を立ち始め、顔を上げた私を見て「須藤さん、終わりだよ〜」なんて声が聞こえる。

どうやら弱いくせに普段より飲んで、うっかり居眠りをしてしまったらしい。


「須藤さん、二次会行くよね?」


向こうにいる上機嫌な部長が、スーツのジャケットを羽織りながら聞いてくる。


「あ、は、はい!」


いつもの調子で返事をし、立ち上がろうとしたところで勢いよく掘り炬燵から上げた右足を強打した。

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