お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
曽根の向こうから、よく知る落ち着き払った声が聞こえてきて、顔を向けて目が見開いた。
そこに居たのは、ここには居ないはずの潤希さん。
出張から帰ってくるのは、明日だったはずなのに、どうして……。
潤希さんはにこやかに笑って曽根から私を引き取る。
その動作にもふらついてしまうと、がっちりと肩を抱かれてしまった。
「え、あの、副社長が、なぜ……」
酔いが回りながらでも、曽根が驚いて固まっているのがよくわかる。
「彼女は私が責任を持って連れて帰るから、心配無用だ」
潤希さんに連れられ、個室の外へと座敷を歩いていく。
その場に居合わせた総務部の面々はみんな固まっていて、突如現れた潤希さんに全ての視線が集まっていた。
私たちが去り際、部長が「副社長、お疲れ様でございました!」と全員を代表したような声を上げた。