お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
迷わず車が向かった先は、新居のあの高級マンションだった。
車寄せに停車させ、潤希さんは助手席から私を連れ出す。
やっぱり覚束ない足取りの私を半分抱えるように腕に抱き、コンシェルジュに車の駐車代行を頼んでいた。
「すみません……歩けます、ので……」
酔っているといっても、ふわふわしている程度で歩けないわけではない。
それでも潤希さんは私を離さず、真っ直ぐ部屋へと向かっていく。
しかし、車中から会話らしきものを交わしていない。
目も合わせてくれないし、一体どうしてしまったのだろう。
そんな不安を抱きながら部屋へと入ると、潤希さんはパンプスを脱いだ私を突然抱き上げた。
「ぅあっ……み、潤希さん⁈」
何事かと驚いているうち、潤希さんが向かった先は寝室のあの広いベッドだった。
抱きかかえてきた私をベッドへと下ろした潤希さんは、ベッドサイドに立ち、無言のまま私を見下ろす。
間接照明だけの薄暗い部屋の中で、潤希さんは端整な顔に薄っすらと笑みを浮かべた。