お見合い結婚いたします！～旦那様は極上御曹司～

「副社長室に行ってきます」


デスクを離れながら、席に残る同じ部署の人間に声を掛けていく。

フロアを出てすぐ横にある部屋は、総務部の倉庫となっていて、そこに抱えている在庫や物品が管理されている。

支給されている鍵を使って中へと入り、電気をつけて奥へと向かう。

確か、掃除用具関係のそばに虫取り網があったはずだ。


「あった、これだ」


以前、蜂が出たあとに部長が用意しておこうと購入していた虫取り網。

柄が竹製で、背丈もなかなか大きい。

私は虫取り網を手に、その他、一応殺虫剤を数種持って倉庫をあとにした。

二階にある総務部から、重役たちの部屋が集まる上層階へと向かう。

上下二、三階の移動ならダイエットも兼ねて階段を使って上り下りするけれど、最上階の十四階へはさすがにエレベーターを使うことにした。

虫取り網を手に、一階から上昇してきたエレベーターに乗り込むと、先に乗っていた社員たちの視線が私へと集まる。

「すみません」と頭を下げて、邪魔にならない一番奥まで乗り込んだ。