お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
「里咲は悪い子だね……」
ぞくりとするような囁きだった。
ベッドに下された反動で、くらりとアルコールが回ったような感覚に陥る。
「潤希、さん……?」
〝悪い子〟その言葉の真意がわからない。
どこか意地悪な微笑を浮かべた潤希さんは、私を見下ろしたままスーツのジャケットを脱ぎ、結び目を鷲掴むようにしてネクタイを緩めた。
「俺が迎えに行かなかったら、なんだかわからないうちに男に送られてたんじゃない?」
「え……」
ベッドに上がってきた潤希さんが、私の横たわる真上に迫る。
「そ、そんなことないです。ちゃんと、一人で帰るつもりでしたし……」
潤希さんは、一緒にいた曽根のことを言っているのだろう。
確かにあの時、曽根が送っていくとは言っていたけど、酔っていてもちゃんと断るつもりだった。
「里咲がそのつもりでも、相手はわからないよ?」
じっと動けずに潤希さんを見つめたままの私に、彼はゆっくりと顔を近付けてくる。
「男は、いつ狼になるかわからないから」
そう言って、迷いなく唇を重ね合わせた。