お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
わからない気持ち
給湯室の水道でジョーロに水を注ぎ、決まった順に社内の植物に水を与えていく。
まずは一階に下り、エントランスや待合の観葉植物から。
ジョーロと一緒に雑巾も持っていって、受け皿に水が溜まっている場合は鉢を上げて水を捨てる。
ちょっと元気が無さそうな植物には栄養剤を入れたりもするし、健康管理も怠らない。
植物の水やりは地味は仕事だけど、私はこの毎朝決まった作業が気に入ってたりしている。
部内でもいつのまにか私の仕事として任せてくれているくらい、私の朝の定番の業務なのだ。
なにより、植物に触れるのはやっぱり癒される。
「ご苦労様」
「あっ、お疲れ様です……」
来客用待合スペースのポトスに水をあげていると、突然背後から声をかけられた。
中腰の姿勢でいたところ振り返り、ジョーロを持ったまま顔を上げる。
秘書なしで現れた潤希さんは、「いつもありがとう」と言って、普段通り穏やかに微笑んで私を見下ろしていた。
「少し前から眺めてたんだけど、気付かないから声かけてみた」
「えっ、そうだったんですか⁈」