お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
忠告とも取れる曽根の声に、無反応は貫き通せなかった。
どうして?という気持ちが、曽根の顔をじっと見つめさせる。
「知ってるだろ、お前だって……副社長の色んな噂」
「え……噂って」
「かなりおモテになるみたいだし? 女関係とか、心配なんじゃん?」
「そ、そんなこと……」
確かに、潤希さんは間違いなくモテる。
何もしなくても向こうから女性が寄ってくるだろうし、選びたい放題なはずだ。
だけど、だからといって、いい加減なことをする人だなんて思えない。
「こうやって言われて、そんな不安そうな顔してるくせに、結婚とか考えられるわけ?」
曽根からの一言一言が、チクリチクリと胸に刺さる。
そんなことない。そう思おうとする気持ちが、ボロボロと音を立てて壊れ始める。
これ以上聞きたくなくて、無言のままその場を立ち去ろうとドアに向かう。
ひとまず一旦この場から逃げて、またあとで施錠しに来よう。
そう思いながら曽根を横切った時、いきなり腕を掴まれ引っ張られていた。