お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
えっ……⁈
引かれた腕は私を振り向かせ、気付けば引き寄せられるようにして曽根の腕の中に抱き締められていた。
曽根の肩が目の前にあって、驚きに目を見開く。
「……俺じゃ、ダメか?」
背中と頭に添えられた手に力がこもって、私は逃れるように全力で曽根の身体を突き放した。
「……ごめんっ」
曽根の顔も見れないまま、吐き捨てるように一言そう言ってその場を飛び出した。
訳がわからないパニック状態で非常階段へと駆け込む。
普段は会議室のある階からなんて階段で下りないのに、何かから逃げるように必死に駆け下りていた。
「ハァ……ハァ……」
十階以上を階段で小走りした私の息は、一階の非常階段入り口に着く頃にはすっかり上がっていた。
高いヒールではないけれど、急いで下りたせいで足も痛い。
でも、曽根があんなこと言うなんて驚いた……。
驚きと拒否の気持ちから、満身の力で突き飛ばしてしまった。