お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~



「里咲、シュークリームあるけど、食べる?」


会社から真っ直ぐ帰って夕飯を少し食べ、お風呂に入った。

水を飲みにリビングに入ると、食器を片付ける母親が声をかけてきた。


「ううん、いらない……」

「え? なに、珍しい……シュークリームなんて言ったら絶対食べるって里咲が、どうしちゃったの。夕飯も全然食べなかったし」


指摘通り、夕飯もほとんど手をつけなかった。

そのままお風呂に入ってしまったから、満腹でもないはずの私がシュークリームに食いつかないことに驚きのようだ。


「具合でも悪いの? あ、わかった……潤希さんのためにダイエットとか?」


不意に出てきた潤希さんの名に気持ちが沈む。

母親は私の陰った様子に気付くこともなく「健康に悪いわよ〜、そこまで太ってないんだから、ダイエットなんて」と笑う。


「それにね、男の人ってちょっとふっくらしてるくらいが女性らしくて好きって人、多いんだからね、だから――」

「ダイエットはしてないから」


いらないアドバイスをしてくる声を遮り、逃げるようにしてリビングをあとにした。

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