眠れぬ夜に
そういえばショウからメールが来ていた。

―明日のライブ楽しみにしてるぜ!新曲ガツンときめろよ!見に行くから

ショウは同じバンド仲間でもあり、あたし等のバンドのファンだと言い、いつもライブに足を運んでは感想を述べてくれる。


仕事を終えてあたしはギターを背負い、機材を持ちアパートを出てドラムのユミの家に向かった。


SEを決めたりMC何話すか、曲と曲の間について深夜までミーティングをして狭いベッドで一緒に眠った。
隣でユミはぐっすり眠っているが、ライブ前夜はいつも眠れない。何本こなしてもこの夜だけは慣れない、諦めて隣で眠っているユミを起こさないようにそっとベッドから起き上がりユミのPCを使ってネットサーフィンをして夜を明かした。


時計は9時を回り、ユミがゆっくり目を覚ました。

―あれ?寝てないの?

―うん、やっぱりライブ前は緊張しちゃってね

寝不足でぐったりした身体を無理矢理奮い立たせ、ユミに笑いかけた。ユミは朝食用意するね、と言ってキッチンへ行った。あたしはユミのベッドに寄りかかりながらタバコを吸った。タバコが短くなって灰皿に擦り付け火を消し、よし。と心の中で気合を入れてシャワーを借りてユミの作ってくれた朝食を頬張った。
そして簡単に準備を済ませ、ユミの姉貴の車に乗り込みハコへ向かった。車の中では前回のライブのMDを聴きながらあーだこーだ言いながら緊張をほぐした。
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