上司との結婚は致しかねます
1.春の嵐
「藤花。好きだよ。
このまま、離れたくないな。」
甘い囁きは夢の中。
今日で『俊哉さん』と話していない日は連続で8日目に突入した。
同一人物である『高宮課長』と私は毎日話してるんだけどね。
話し……てるってことになるのかは甚だ疑問だけど。
「高宮課長、最近変わったよね。」
「物腰が柔らかくなった〜。」
周りから聞こえてくるのは概ね高宮課長のイメージがよくなったという高評価。
「良かったね〜。
めでたく付き合うことになって。」
「しかも高宮課長のイメージも良くなってるし、いいこと尽くめね。」
仲良しの佳乃ちゃん、真美ちゃんが自分のことのように喜んでくれているけど、私は浮かない顔をしていた。
「付き合いたての今が一番楽しい時でしょ?
なのに、何?その顔。」
「だって〜。」
周りが高宮課長にキャーキャー言っている中で私は社内恋愛、直属の上司と部下という間柄を持て余していた。
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