上司との結婚は致しかねます
少し寂しく思っていると溜息混じりに俊哉さんが呟いた。
「大津さんはどうだか知らないが、小塚達は放っておいても大丈夫だ。
気になるのなら藤花からブーケを手渡してやったらどうだ。」
ブーケかぁ。
もらった人が次に結婚するってジンクスみたいなのがあるよね。
………というか、私から?渡すの??
それって………。
時間差で意味を理解して俊哉さんの顔を見ると真剣な表情を浮かべていた。
「だから結婚しよう。藤花。」
わ……。
突然のことなのに胸がキュンと鳴いた。
「だからって、そういう理由でするものですか?」
あり得ない提案なのに心臓はドキドキと鼓動を速める。
「ダメか?時期と場所と、それに言葉も選んでと思っていたが、どこにいようと口説かないと埒があかないことに気付いたからな。」
不敵に笑う彼が私の胸に顔を近づけた。
「鼓動は速くなったみたいだが?」
「なっ、ちょっ、どこにうずめて!!」