上司との結婚は致しかねます
10.思い出す不安
マンションに入るとすぐにキスをする。
クスクス笑い合って、まるで最初に俊哉さんとキスをした時みたいに。
お互いにやっぱり酔ってるのかもしれない。
頬に触れ、髪に手を入れて撫で回す。
もっと触れていたい。
「キス、もう少し、、していい?」
それはきっといつもより深いキス。
彼の体にしがみついて頭をコクリと頷かせた。
「可愛いな。藤花は。」
顔を覗き込まれて唇が触れる。
ゆっくり味わうようにキスをして、重ね方は次第に深くなる。
リビングのソファに座ると前は怖かった深いキスに今はとろけて無くなってしまいそうになって、必死に彼にしがみつく。
「ほら。服から手を離して。」
指を取られ甘噛みされると背中にゾクゾクと甘い疼きが走る。
導かれるまま彼の素肌に触れ、そのまま直接体に抱きついた。
「部屋に、行った方が良かったかな……。」
キスの合間に呟く彼の台詞に上手く返事が出来ない。
目を閉じて彼の肩に自分の頭を預ける。
そうして知らぬ間に意識を手放していた。