上司との結婚は致しかねます
「ハハッ。冗談。
今日は用事があるから残念ながら続きはまた今度。」
「用事って。」
思わず服の端をつかむと俊哉さんは目を見開いた。
服……着てる。
昨日、脱いだのは夢?
「煽るなよ。行けなくなる。」
困った顔を向けられても止められない。
「どうしても行かないといけない用事ですか?」
「藤花………。」
有耶無耶だったことがなくなって気持ちは真っ直ぐに今は俊哉さんだけに向いている。
俊哉さんが私に触れたいように、私だって好きな人に触れていたい気持ちもある。
せっかく2人が同じ気持ちでいるはずなのに……。
真っ直ぐ俊哉さんを見つめるとその視線は外された。
「ごめん。どうしても外せない用事なんだ。
遅くなるかもしれないから、俺の部屋で寝てて。」
「俊哉さんの部屋で……。」
照れ臭い気持ちと、、それに不安な気持ちが綯い交ぜになって上手く笑顔を作れない。