上司との結婚は致しかねます
2.春の予感?
「わぁ。
朝から焼き魚が食べられるなんて贅沢。」
「そう?そんなに喜んでもらえるなら帰りに買い物へ寄った甲斐があるな。」
西京焼きに、浅漬け、それにお味噌汁。
品のいいお出汁の味が体に染み入る。
「今日、デートしないか?」
「で、デートですか?」
私の狼狽ぶりにフッと息を漏らした。
「恋人になったのに、恋人らしいことしてないなと思ってな。」
紆余曲折ありながらもお互いの気持ちを伝えあってから、実はキスもおろか、会話するのでさえも久しぶりだ。
「嬉しいです!!」
多分、私に尻尾がついていたら振り切れんばかりに振っているだろうな。
目を細めて私を見る俊哉さんと目が合って、恥ずかしくて目を逸らした。
「なら、準備してこい。
片付けはしておくから。」
「でも……。」